TRPG版無限のファンタジアによれば、キャラクタの取る行動の判定は、基本的にキャラクタの能力値(レベルも含む)と20面体ダイス(サイコロ)を1回振った目によって決まり、ダイスの目が小さければ小さいほど行動が成功しやすくなります。これは、PBW版無限のファンタジアにおいても、判定基準の一つとして用いられています(注:全てのマスターさんにおいて用いられているとは限りません)。
PBW版無限のファンタジアでは、キャラクタの能力を上げる召喚獣というものが登場しています。その効果としては様々なものがありますが、その内、ある行動の成功率があがるものがあります(ダークネスクローク、ミレナリィドール等)。これらの効果をダイスの目に結びつけると、ダイスを2回振り、その中で小さい目をとるものと予想されています。つまり、判定を2回行うわけです。また、TRPG版無限のファンタジアでも、キマイラはその形質の数の分だけ判定回数が増え、その中で最も良い判定を採用することになっています。
ダイスによってどの目が出ることも同様に確からしいと仮定するならば、ダイスを1回振ることによってある目が出る確率は、どれも5%となります。しかし、2回、3回と振り、最も良い目を採用する場合は(判定を複数回行う場合)、その結果がある目になる確率は一定にはなりません。そこで、このような場合の確率を求めてみました。
判定を複数回行うという行為は、ダイスを複数回振り最も小さい目を用いるということに結び付けられます。ここで、i回ダイスを振って採用されている目をXiとします。例えば、ダイスを1回振って3が出たならば、「X1 = 3」となります。もう一回振って5が出ても、「X2 = 3」。さらに振って2が出たら、「X3 = 2」となります。
ここで、ダイスを1回振ったときにX1がある値Nを取りうる確率をP(X1 = N)と書きます。すると、次の式が成り立ちます。
P(X1 = 1)=P(X1 = 2)=P(X1 = 3)=...=P(X1 = 20)=0.05
これは、20面体ダイスを1回振ったとき、それぞれの目が出る確率は1/20 = 0.05ということを示しています。
次に、20面体ダイスを2回振ったときのことを考えます。すると、2回目に振った目が1回目よりも小さいならば2回目の目を採用する。それ以外ならば1回目の目を採用すれば良いということに気がつきます。2回目に出た目をMとするならば、P(X2 = N)は、1回目にN以上の目が出て、2回目に振った目がNだという条件付確率「P(M = N | X1 > N)」と、1回目にNの目が出て2回目にNより大きい目が出るという条件付確率「P(M > N | X1 = N)」の和になります。これを式にすると、
P(X2 = N)=P(M = N | X1 > N)+P(M > N | X1 = N)
= P(M=N)×P(X1 > N) + P(M>N)×P(X1 = N)
となります。20面体ダイスを1回振ったとき、各目が出る確率は一律に0.05ですから、
P(M=N)=0.05
P(M > N) = 0.05×(20-N)
と書くことができます。つまり、上式を書き直すと、
P(X2 = N)=0.05×P(X1 > N) + 0.05×(20-N)×P(X1 = N)
となります。
これをi回ダイスを振って採用される目に拡張しますと、
P(Xi = N)=0.05×P(Xi-1 > N) + 0.05×(20-N)×P(Xi-1 = N)
と定式化できます。
振る回数が増えるほどに、その確率密度曲線の次数もあがることがわかる。
ダイスを振る回数による確率の変化(グラフ)
横軸:採用されるダイスの目 縦軸:採用される確率(%)
黒線:ダイスを1回振った場合
青線:ダイスを2回振った場合
赤線:ダイスを3回振った場合
ダイスを振る回数による確率の変化(データ)
データは百分率(%)で表し、小数点以下2位で四捨五入している。
回数 | 採用される目 |
20 | 19 | 18 | 17 | 16 | 15 | 14 | 13 | 12 | 11 |
10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
1 |
5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 |
5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 |
2 |
0.3 | 0.8 | 1.3 | 1.8 | 2.3 | 2.8 | 3.3 | 3.8 | 4.3 | 4.8 |
5.3 | 5.8 | 6.3 | 6.8 | 7.3 | 7.8 | 8.3 | 8.8 | 9.3 | 9.8 |
3 |
0.0 | 0.1 | 0.2 | 0.5 | 0.8 | 1.1 | 1.6 | 2.1 | 2.7 | 3.4 |
4.1 | 5.0 | 5.9 | 6.8 | 7.9 | 9.0 | 10.2 | 11.5 | 12.8 | 14.3 |
4 |
0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.1 | 0.2 | 0.4 | 0.7 | 1.1 | 1.5 | 2.1 |
2.9 | 3.8 | 4.9 | 6.2 | 7.6 | 9.3 | 11.2 | 13.4 | 15.8 | 18.5 |
5 |
0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.1 | 0.1 | 0.3 | 0.5 | 0.8 | 1.3 |
1.9 | 2.7 | 3.8 | 5.2 | 6.9 | 9.0 | 11.6 | 14.7 | 18.3 | 22.6 |
6 |
0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.1 | 0.2 | 0.4 | 0.7 |
1.2 | 1.9 | 2.9 | 4.2 | 6.0 | 8.4 | 11.5 | 15.4 | 20.4 | 26.5 |
7 |
0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.1 | 0.2 | 0.4 |
0.7 | 1.3 | 2.1 | 3.3 | 5.1 | 7.6 | 11.1 | 15.8 | 22.0 | 30.2 |
TRPG版のキマイラ、八空覇王・ゾフィラーガは(6形質)は7回ダイスを振るので、
クリティカルを3割近くの確率で出してくるのですね。
ダイスを振る回数により採用される目の期待値
横軸:ダイスを振る回数 縦軸:採用される目の期待値